運命の出会いって信じますか?
英輔は私の目を見ると、手を挙げてそこを離れた。
英輔は全く変わらない。
変わってくのは私の方。
しかも仕事もプライベートも人間として洗練されていっている。
「かなわないよね、英輔には。」
「何か言った?華。」
久しぶりの外食で、お互いが向かい合って座っている。
「私、全然英輔に追い付けないような気がする。」
ぼそりとそう言った私の顔を、英輔は覗き込む。
「華は分かってないな。俺が頑張れるのは華がそばに居るからに決まっているだろう。華の横には自信を持って立っていたいからな。すべてにおいて手抜きが出来ない。」
いつもと変わらない優しい彼の顔。
「俺には華がいてくれたらいいんだ。」
彼は満足そうに水を飲んだ。