運命の出会いって信じますか?
「一緒に住む?」
相変わらずの優しい笑顔で、英輔はそんな事を言う。
「英輔は社宅なんだから無理でしょう?」
私は笑い飛ばした。
結婚もしないのに、社宅に同棲はまずい。
しかもやっと私にとって仕事が楽しくなってきたところ。
英輔との距離も今が一番良いと感じていた。
それに英輔ほど業績がある営業マンはきっと近々転勤があるんじゃないかと社内で噂になって来たところだった。
それは営業マンである英輔の出世を意味する。
それを邪魔する事なんて、私には考えられなかった。
英輔には思う存分自分の力を発揮して欲しい。
その頃には、プライベートでもお互いが寄りかかっているだけの甘い恋人状態からすっかり抜け出した関係になっていた。
「じゃあ、結婚する?」