運命の出会いって信じますか?
逆にご主人である隼人さんや子供の愚痴が出ている間は、森田家は安泰なのだ。
それは独身者の私が年数を重ねて段々と分かって来た事。
初めのうちは真に受けてかなり心配もしたりしたが、今考えるとそれは馬鹿らしく感じる。
真美は私が独身であっても、自分の家庭の事を全く気にせずに話してくれる。
そんな所がお互い気を遣わずに、長く仲良くしていける所なのかもしれない。
「そう言えばそろそろ異動の時期だね。」
ポツリと真美は言う。
うちの製造会社はそこそこ大手で全国に支店が有り、そして海外にも数箇所拠点ある。
今、英輔が赴任しているタイもそのうちの一つだ。
そうだ…。
私が真美の方を見ると、真美はニヤニヤしてこちらを見ている。
「その反応だと、日下君は戻って来るのかな?」
どうやら初めから真美はその事を私に聞きたかったらしい。