恋の魔法と甘い罠Ⅱ
そしてたどり着いた部屋の鍵を開けて玄関に入るや否や、晴希さんはあたしを引っ張るように勢いよく引き寄せて抱き締めてきた。


そしてそのままあたしの髪に顔を埋める。



「何かあったのか?」


「え」



確かに、あった。
けれどどうしてわかってしまったの?



「いくら凪んとことはいえ、昼間から飲むなんて、玲夢らしくない」


「……」


「何かあったんなら言えよ」



そう言いながら抱き締める腕の力を緩めて顔を覗き込んできた晴希さん。


そのまま距離を詰めて唇を重ねてきたけれど、ちゅっと触れるだけで離れていく。


そして息がかかりそうなほどの至近距離から見つめてくる晴希さんは、



「何があった?」



もう一度そう訊いてきた。
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