恋の魔法と甘い罠Ⅱ
もし別れることになったとしても、遠距離を頑張ってみてからでよかったんじゃないかって。



「俺……ずっと、忘れられなかった」


「え」



真っ直ぐに向けられる朔の瞳は、その奥に熱いものが見えるかのように強い眼差しで。


あの頃の朔を思い出させる。



「俺、今でも玲夢が好きだ」


「え」


「こうやって、玲夢と会ってやっぱり好きだって思った。
──もう一度付き合ってよ」



あまりにもストレートすぎる言葉に、一瞬何を言われたのかわからなくて。


けれどその意味に気づいて、慌てて首を横に振る。



「ごめん。あたし、今彼氏いるから」


「だろうな」


「え」


「玲夢を見りゃわかる。そういう相手がいるって」



相変わらず勘の鋭い男だと苦笑する。
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