恋の魔法と甘い罠Ⅱ
朔はあたしの方に視線を戻してきたけれど、その瞳は観察するようにじっとあたしの瞳を見つめていて。


パッと視線をそらす。



「俺が10分って言ったんだもんな」



伝票を手にして立ち上がった朔は、そのまま会計の方へすたすたと歩いていく。



「ちょっ」



慌ててついていくけれど、追い付いたときには既にお会計を済ませていて。



「払うよ!」



お財布片手にそう言ったけれど。



「誘ったの、俺だから」



そう言ってそのままカフェを出てしまった。



「ちょっと待ってよ!」



早足で歩いていく朔になかなか追い付けないから呼び止めると、足を止めて振り返った朔。



「何?」


「ごちそうさま」
< 153 / 491 >

この作品をシェア

pagetop