恋の魔法と甘い罠Ⅱ
朔はあたしの言葉にまたぷっと吹き出した。



「相変わらず律儀でやんの。ほんと、なんにも変わらねえ」



そう言って瞳を細めながらやさしく微笑む朔の表情も変わらないなと思ったけれど、あたしの場合、変わらないと言われて嬉しいのか悲しいのか。



「どっち方面?」


「え?」


「帰り道」


「ああ、こっち」



右の方を指差すと、朔は「俺も」と歩き始める。


一緒に歩くのもなーと、二歩ほど後ろをついていくと、朔はぴたりと足を止めて振り返った。



「何でそんなに離れてんの?」


「え」


「俺と歩くの、そんなに嫌?」


「そういうわけじゃ……」


「帰り道が同じなんだから、全く問題ねえだろ?」



確かに、そうなんだけど。
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