恋の魔法と甘い罠Ⅱ
朔は足を止めたまま、あたしが歩くのを待っている。


うう、そうされてしまうと一緒に歩くしかなくない?


小さく息を吐いてから足を進めて朔に追い付いた。


そしたら朔は満足そうに微笑んで、ゆっくりと歩き始めた。


とはいえ、何を話せばいいのかわからず、やや瞳を伏せたまま歩く。



「玲夢はいつから今んとこに?」



けれど、その言葉にゆっくりと朔を見上げた。



「今年、四年目だよ」


「へえ」


「朔は?」


「俺は、先月から」


「え!」



先月!?


どおりで会ったことがないはずだ。



「関西の方から転勤になったんだ」


「関西?」



高校のときの引っ越し先は関西ではなく、ここら辺だったはずなのに。
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