恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「そういえば、玲夢ちゃん」


「え、何ですか？」



悩ましげな表情をしていた悠亜さんが、今度はなにかを考えるような顔をしてあたしの顔を覗き込んできた。



「和泉さんの噂、聞いた？」


「噂って、紗羽さんとのことですか？」



あたしが晴希さんと話すようになる前からずっとある噂。


晴希さんがずっと紗羽さんのことを忘れられないというもの。


紗羽さんが結婚して一年半も経つのにいまだにそういう噂が流れている。


晴希さんとあたしとのことは、いろいろ面倒なことになるかもしれないと黙っていて。


その噂があるお陰で、あたしたちのことを疑われることもない。


時々晴希さんがあたしのことを構ってくるけれど、紗羽さんの後輩だから、と流されることも多くて。


いい具合にカモフラージュになっている。
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