恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「ちょっ、晴希さっ……!」



けれど、会社でそんなことをするなんて……と与えられる快感で朦朧とし始めていた脳を十分に働かせて、その手をパシッと叩く。



「いてっ!」



左手の甲を右手で擦りながらちらりとあたしの方へ視線を向けてきた晴希さん。



「なんだよ? これからだったのに」


「もう! こんなことするために会ってるんじゃないんだもん」


「俺はこんなことするためなのに……」



唇の尖らせながらそう言う晴希さんは小学生のように見えてしまって、ぷっと吹き出してしまった。



「何笑ってんだよ?」


「だって、晴希さん小学生みたい」



くすくすと笑いながらそう言うあたしに、今度はむっとした表情を向けてきた。
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