恋の魔法と甘い罠Ⅱ




「もっ……信じらんない!」


「ん? でも、気持ちよかっただろ?」



全く悪気なさげにそう言う晴希さんに、責める気も失せて溜め息しか出てこなくなってしまう。



「はぁ」



そんなあたしにも晴希さんはやさしい瞳を向けてきていて。



「今日は九時くらいになるかな」


「……うん」



結局いつもとあまり変わらない帰宅時間。


それでもたった五分でも晴希さんはこうやって時間を作ってくれるようになった。


それにあまり密着した二人を見かけなくなった。


晴希さんがそれを拒否しているのか、あたしの視界に入らないようにしてくれているのかはわからないけれど。


だから不安な気持ちもほとんどなくなった。
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