恋の魔法と甘い罠Ⅱ
会議室に入ったとはいえ、鷹山くんは相変わらずひそひそと話しかけてきた。



「鮎川って主任と結婚するって言ってなかったっけ?」


「え、うん。そうだけど」



突然あたしのもとにやって来たと思ったら、何を言い出すんだろうと眉を潜める。



「なんかさ……変な噂を聞いたんだよ、俺」


「変な噂?」


「ん」


「どんなの?」



そう訊くあたしに、鷹山くんは言いにくそうに口を開いた。



「……主任と、石崎が……婚約するって噂」


「え?」



予想もしていなかった言葉が耳に届いてきて、一瞬何を言われたのかわからなかった。


それでもすぐにその意味を理解したけれど、何がなんだかわからなくて頭の中が真っ白になる。
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