恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「彩未何だって?」


「うん。『何かあったの?』って」


「ん。そっか」



足を止めることなく歩いている朔はそう言いながら空を見上げている。



「……玲夢」


「ん?」


「もう無理だって思ったら、いつでも俺んとこに来いな。俺は、どんだけでも待ってるから」


「……」



瞳を細めてやさしく微笑みながらそう言う朔に、何故か、いつものように“行かない”とは言えなかった。


なんでかな。


時々強引にはされたけれど、ちゃんとあたしが朔との距離を置いているっていうのをわかって行動してくれていたし、


それに、今日は朔の存在にずいぶん助けられたから、安心したのかもしれない。
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