恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「玲夢おまえ、覚えてろよ」



そう言って、手の届くところにあった洗面器を手に取った晴希さんは、それにたっぷりと入れたお湯をあたしの頭からザバーンとかけてきた。



「ぎゃー! 何するの!? 洗面器使うとかずるい!」



両手で顔にかかったお湯を拭いながら叫ぶようにそう言ったけれど、晴希さんはそんなあたしににやりとした笑みを向けてくる。



「使ったらだめなんていう決まりはないだろ? そもそも先に仕掛けたのは玲夢の方だろ」


「そ、そうだけど」



確かにあたしからお湯をかけたんだけど、それはあの話をもうしたくなかったからそれを避けるためであって。


こんな仕返しが待っているなんて思わないし。


うんでも、これ以上突っ込まれることなくあの話を忘れてもらえるならこれでいっか。
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