恋の魔法と甘い罠Ⅱ
「おー怖っ。……そんなに焦るんなら、もっと大切にしてやれよな」


「わかってるよ」



小さく溜め息を吐いた晴希さんは、あたしの方へ向き直る。



「玲夢、本当に何でも言ってくれよな。抱え込みすぎて離れてくとかなったら、俺、マジで耐えらんねぇし。それに、お腹の子にもよくねぇだろ?」


「……うん」



眉尻を目一杯下げながら力なくそう言った晴希さんは、心底心配しているように見えて。


あたしが我慢して黙っていればいいと思っていたけれど、それがすべてではないんだと気づく。



「よし、帰るか」



あたしの髪をくしゃくしゃと撫でながら顔を覗き込んできた晴希さんは、そう言ってやさしく微笑む。
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