血塗れの廊下【短編集】



「お母さーん。塵袋塵置き場に置いて来るね」

母は「ええ」と言いながら
昼食の準備をしていた。


私は玄関まで小走りで行き
靴を履く。

そしてドアノブに手を掛けた所で


『……よ…ね……か…?』


なんともいえない、不思議な声が
聞こえてきた。

子供の声ではない、大人の声でもない
曖昧な声だ。


「誰…?」


辺りを見回す、が。

誰も居ない。




< 10 / 27 >

この作品をシェア

pagetop