血塗れの廊下【短編集】
*
「ねーお母さん。」
「なあに?」
「今日ね、何だか変な声を聞いたの」
「変な声って?」
お母さんは洗濯物をたたみながら
首を傾け、頭の上に疑問符を浮かべる。
私はソファーの上に横たわりながら
「それがねー子供の声でも無く、大人の声でも
無い、不思議な声。辺りを見回したけど
誰も居なかったんだよ」
という。
するとお母さんは微笑する。
お母さんは疲れてるんじゃない?
早く寝たら? とだけ言って
洗濯物をタンスの中に入れた。