Luce+
次の日。
さすが京華は仕事が早い。あの子の名前もクラスも芸歴も調べあげてきた。この子がストーカーに走ったら末恐ろしいことになるだろうとか思ってしまったが、今はそんなこと考えないでおこう。

あの子は百合城りりと言うらしい。クラスは1年B組。最近モデルとしてスカウトされ、芸能界に足を踏み入れたようだ。だから私も彼女のことを知らなかったのだ。

そんな彼女がこの学校に入ってきたのはきっと、モデルと学校生活を両立させるためだろう。

このエトワール学院は、芸能界に属する女の子のみが通う、この地域でも有名なお嬢様学校なのだから。

そうと分かれば会いに行くしかない。1年B組。生徒会室からそれほど遠くない。人と会うだけなのにこれほどドキドキしたのは久しぶりだ。顔に出ていないだろうか。いつも通り、平常心。堂々としていればいいのだ。がんばれゆめこ。

「あらお姉様。すごく緊張してます?」

いつもの笑みで私に問いかけるすず。
「なぜ分かるんだ?顔に出てたか?」と問い返すと、

「いえ、お姉様は顔には出さないから分かりませんわ。でもほら、癖。毛先をいじってますわ。」

と、やはりいつもの笑みで答える。私は緊張すると毛先をいじってしまうらしい。気を付けよう。でも顔には出てないことは分かったのでいつも通りに、堂々と、1年B組へ向かうことにした。
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