Engage Blues






「同じことですよ。公開処刑が果たし合い当日に延びるだけです」

 淡々と語る虎太郎の目は冷ややかだ。
 すでに、最悪の未来を想定ずみのよう。


 弱ったな。これじゃ、ますます知らないフリはできない。


「それじゃ、困ったな。えーと、ちょっと待って。今、考えるから」


 薄暗い路上で。
 うろうろと忙しなく動き回り、何か妙案がないか探ってみる。
 でも、そんな戸惑いぎみの頭じゃ、ろくな対策が練れるはずもない。


 そんなことは、虎トラ兄弟の方がわかってたみたいだ。


「……手ぶらで帰ったとなれば、虎賀流闘術門下生の名折れ」

「いっそ、無理矢理にでも承諾してもらうしかないッスね」


「え?」


 考え事に夢中で聞きとれなかった。

 顔をあげた瞬間には、虎トラ兄弟は戦闘態勢を整えていた。



「虎賀流闘術」


「えッ、ちょっと……」


 腰を落とし拳を構えた双子は、口を揃えて言葉を放つ。

 ぴりぴりとした空気が辺りに漂う。
 逃げようにも、風のような押し寄せてくる強い圧迫感に足が動かない。




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