Engage Blues
他の武闘家も、加瀬家のような隠密を抱えている。
わたしが凰上の娘であることは隠しようがない。恋人である慶さんの身元を突き止めるのは、もはや時間の問題だった。
《虎賀さんが監禁しそうな場所は掴めます。ですが、他の家までは俺の情報網にも限界があります。その時、あんたはどうするんですか?》
相手が美由紀の場合なら、何とかなる。
彼女の行動パターンは、コウの力を借りれば把握できる。
でも、他の家では通用しないかもしれない。
蛇の道は、蛇。
同じ忍の家系では、コウの情報網が使えないかもしれない。
それをわからせるために、あえて美由紀を泳がせていたのだろう。
コウを恨む道理なんかない。
避けていた道。
辛くても、何かを失っても、選ばなくちゃいけない。
このままじゃ、事態は悪化していくだけ。
ふと、慶さんの顔が浮かぶ。
何もしないで終わりにするの?