Engage Blues
エピローグで、さらなる強襲をしないでください。
耳障りなバイブレーションとアラームの電子音が頭に響く。
「ん~……」
猛烈な眠気と格闘しながら、手探りでスマートフォンを探し出す。
枕元にはない。
サイドテーブルにもない。
なら、ベッドの下か?
寝ぼけ眼で床を見回すと鞄が落ちてた。
きっと、その中だと思って左手をのばす。
「えッ」
ガバッと飛び起きて、自分の手をまじまじと見た。
眠気なんて、吹っ飛んだ。
左手の薬指に指輪がはまってる。
キラキラと輝くのは…………ダイヤ?
一体全体、何が起きたの?
ごくりと息を呑んだ瞬間、
「起きたか」
「け、慶さんッ、これは……」
やっぱり起きてたらしい慶さんは、鞄を拾い上げて渡してくれた。
わたわたと引っ張り出したスマートフォンのアラームを解除すると、慶さんはベッドに腰かけてきた。
「渡すのは、ずっと先だと思ってた」
わたしの手を取り、指先に軽くキスする。
「受け取ってくれるか?」
柔らかな笑顔で、何を意味するか全てわかってしまって。
断る理由なんかない。