Engage Blues






「わ、わたしは……」


「いい」


 言い終わらない内に、慶さんに遮られる。

 曖昧な返答に怒らせたのかと身を固くすれば、優しい仕草で抱き寄せられた。


「急がなくていい。ゆっくり考えて」

「……は、はい」


 わたしのぎこちない返事にも、額にキスを落とす。しばらく髪や頬、背中を撫でていた。

 やがて、その動きが緩慢になったことで、慶さんが眠りについたことを知る。

 微かな寝息を聞きながら、わたしはひとり眠れぬ夜を過ごした。


 肌の温もりと身体のだるさ。
 間違いなく幸せなひと時なのに、胸は罪悪感でいっぱいだった。


 慶さん、ごめんなさい。
 迷うことなく『はい』と言えないわたしを許してください。










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