Engage Blues





 これだから超純血のA型は嫌いだ。
 コウは病気なんじゃないかと思うくらい、神経質で几帳面なのだ。
 発言がいちいちムカついて仕方ない。


 長年の経験では、そうわかっているのに割り切るのが難しい。
 世の中、諦めが肝心なのにさ。


「で? わざわざ、わたしをムカつかせに来たわけ?」

「それも面白そうですからイエスと答えたいですけど、別件です。ちょっと耳に入れといて欲しいことがありまして」

 話を仕切り直すと、やっぱりコウは気になる言葉と一緒にノッてくる。


 さっさと終わる用件かと期待したけど、彼の改まった口調で嫌な予感がしてきた。

「実は、最近になって【鬼洞家(きどうけ)】の後継者争いが表面化してきまして」

「……それ、うちと関係あるの?」

 どこも似たような事情なんじゃなかろうか。

 などと、逃げてみる。
 今の日本にしてみれば、武術家だって世知辛いだろう。


 よくあるお家騒動もありえる。何故、こっちまでとばっちりを食うのか首を傾げてみれば、コウはわずかに声を固くした。





< 34 / 141 >

この作品をシェア

pagetop