Engage Blues
これだから超純血のA型は嫌いだ。
コウは病気なんじゃないかと思うくらい、神経質で几帳面なのだ。
発言がいちいちムカついて仕方ない。
長年の経験では、そうわかっているのに割り切るのが難しい。
世の中、諦めが肝心なのにさ。
「で? わざわざ、わたしをムカつかせに来たわけ?」
「それも面白そうですからイエスと答えたいですけど、別件です。ちょっと耳に入れといて欲しいことがありまして」
話を仕切り直すと、やっぱりコウは気になる言葉と一緒にノッてくる。
さっさと終わる用件かと期待したけど、彼の改まった口調で嫌な予感がしてきた。
「実は、最近になって【鬼洞家(きどうけ)】の後継者争いが表面化してきまして」
「……それ、うちと関係あるの?」
どこも似たような事情なんじゃなかろうか。
などと、逃げてみる。
今の日本にしてみれば、武術家だって世知辛いだろう。
よくあるお家騒動もありえる。何故、こっちまでとばっちりを食うのか首を傾げてみれば、コウはわずかに声を固くした。