Engage Blues

デートの最中に割り込みとは、いい度胸ですね。










 わたしの家、凰上は古(いにしえ)の時代より伝わる武術を守り、伝えてきた。

【神武拳流闘術】という名前からして、武神から継承された世界最強の格闘技とされる。

 特別な呼吸法から、自らの中に宇宙を体現することで、本来なら生涯に渡り眠り続ける力を最大限に引き出す。


 その全てを体得したとされる開祖は十三の指南書を作り、後世に残そうとしたけれど、神の力を宿せる器は極端に少ない。
 迎えた十三人の弟子たち全員が、開祖を超えることはなかった。


 苦肉の策として、彼は弟子たちのひとりひとりに指南書を一巻ずつ分け与え、その技のみを極めることを望んだ。
 やがて、弟子たちそれぞれが一個の特徴を持つ流派へと変化していく。
 指南書は奥義書と姿を変え、その流派の師範のみ閲覧が許されるようになる。


 長い歴史の影で、いつしか戦場で相対する一族もいた。
 互いに戦い、討って討たれて。
 技の流出と模倣、奥義書の奪い合いにもなった。

 すでに六つの家が絶え、残った流派の家格も均一ではなくなった。



 今現代では、奥義書を数多く所有していることが『最強』を表す基準となっている。










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