Engage Blues
再び不安が影となって忍び寄ってきた時だ。
慶さんは、こっちに歩み寄って優しく抱き寄せてきた。
「それとも」
すすす、と背中を撫でていた手が下の方へ降りていく。
「梨花の身体には、俺が知らない部分がまだあるのか?」
間近に迫る笑顔に、目眩がしてくる。
秘密って、そっちですか!
早く誤解を解かねば、今にも暴かれそうな勢いだ。
「へ、変なこと言って、ごめんなさい」
「そうか。暴き立てて欲しくなったら、いつでも言うといい」
「ないです。ないです。滅相もない」
ぶんぶんと思いきり首を振る。
やっぱり、暴く気満々だった。
そんな特殊アビリティっぽいの、ないです。
少なくとも身体には。
全身でアピールすると慶さんも納得してくれたらしい。
激しく責められることなく、まぶたやこめかみにキスを落とされるだけですんだ。
う、嬉しいけど、からかわれただけの気もする。