Engage Blues
ちなみにわたしを『野雀』と呼んだのは、きっと単純な発想だ。
凰上→鳳凰→朱雀→朱色の雀→雀→地味な鳥……?
別に間違っちゃいないけど。
「今日こそ、あんたの命日よッ! それが嫌なら、凰上家所有の奥義書を渡しなさいッ!」
いきなり指を突きつけての処刑宣告。
そうでなければ、実現不可能な要求。
横暴すぎる。
なので、交渉を試みた。
「ねぇ、それ止めようよ。話し合おうよ。何で、最初から暴力込みの二択になるのさ?」
やんわりと穏便に平和的解決を提案してみる。
子トラ兄弟相手だと、どうしても力ずくな展開になってしまうけど、なるべく武術に頼りたくない。
どんな事情にせよ、第三者から見れば暴力には変わりないのだ。
誰もが納得できる結果を探ろうと言ったのに、美由紀は眉をひそめるだけだ。
「あなた、それでも凰上流闘術の次期師範なの? そんな甘ったれた理屈が通ると思うなんて、鬼龍に次ぐとまで讃えられた凰上家も落ちぶれたものね」
当然のように鼻で笑われた。
わたしが宇宙的な空気を読めない発言したみたい。