Engage Blues





 アナコンダバイスをかまされ、激痛と失神の恐怖に襲われる。
 必死でもがく最中、美由紀の恨みのこもった声が響く。


「梨花ッ……あんた、男に現を抜かしてるのも今の内よ。いずれ十三の奥義書も【神武拳流闘術】最強の座も、この虎賀がいただくわ!」


 だったら、放っといてくれんかね!
 わたしは最強の座も奥義書も、どうでもいいよ!


 そんな煩わしいもん全部取っ払って、慶さんと一緒にいたいだけなのに……ッ!



 皆で、そのささやかな幸せを邪魔してない!?



 怒りと酸素不足で頭に昇った血流が激しく脈打つ。
 意識が途切れかける寸前、自分から抵抗を止めた。

 落したと思った美由紀が腕の力を緩める。
 その瞬間、

「っふ……くッ……」


 再び、彼女の腕を振り払おうとする。
 美由紀も負けじと首を狙ってくるけど、そんな勝負をするつもりはない。

 わたしは、なるべく上体を起こした。立てる姿勢にまで持っていた直後、一気に前のめりに倒れる。
 思いきりアスファルトの地面に頭突きする勢いで。


「どっせぇぇぇぇいッ!!」

「へッ……?」


 もちろん、背後から掴まってる美由紀も一緒に。






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