Engage Blues





「きゃあぁぁぁぁッ!!」


 ドンッ!!
 衝撃と共に地面に倒れ込む。


 ちょっと乱暴な反撃だったかな。
 後ろから首を締めてくる美由紀を前へ叩きつけたのだ。


 のびる彼女の先には、子トラ兄弟が駆け寄ってくる姿が見えた。
 叫び声と叩きつけた音で気付いたんだろう。


「お嬢!」

「お嬢さんッ!!」


 ふたりとも血相を変えて美由紀の元へ駆け寄る。

 彼女も武闘家の端くれだ。
 うっかり全力で投げてしまったが、脳に障害が残るような深刻なダメージはないはず。


 なのに、振り向いた虎次郎の顔は明らかにわたしを責めてる。


「姐さん、あんまりじゃないッスか!」

「それは、こっちのセリフだッ!」


 ぜーはーと肩で息をしながら怒鳴る。
 こっちは失神しかけたのに、なんて言い草だ。

 果たし合いを希望した時点で、こうなる結果も予測していたろうに。
 何故、わたしだけが責められるのか。


「先に手を出してきたのは美由紀だっつの!」

「そうだとしても、梨花さんならお嬢さんに無傷で勝てたでしょうに」


 なんと、横暴な。
 虎太郎ですら、美由紀に怪我せずに事を収めろとか言う。





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