Engage Blues
「慶さん! 一旦、中に入りましょう。風邪ひいちゃう」
「ん……」
慌てて店内へ連れ込もうとするも、彼の動きは鈍い。
わたしのスマートフォンを眺めたかと思うと、またコモドドラゴンを探していた歩道を見つめる。
まず……気付かれた?
いや、むしろ当たり前だよな。
美由紀のことにしろ、コモドドラゴンのことにしろ、気付かないわけがない。
どう問い質されるんだろう。うまく答えられるかな。
一抹の不安を抱えて、慶さんの言葉を待つ。
やがて、無人の歩道を見つめながら、彼はぼそりと呟いた。
「見たかったな。コモドドラゴン」
よっしゃ。セーフッ!