Engage Blues
「姐さんが、イエスって言ってくれればとりあえず俺らの安全は保証されるッスよ」
「そんで、今度はわたしの人権が危うくなるけどねッ」
口にした後で我に返る。
しまった。
本音が、ついうっかりこぼれちゃったよ。
この場合、どっちかが泥を被るのは必須。だから、互いに相手へなすりつけるしかない。
結局、わたしは彼らの立場を擁護しているようで、自分の弁護をしているだけだ。子トラ兄弟になすりつける形で。
己の浅ましさにがっくりと肩を落とす。
かといって、わたしも子トラ兄弟も納得する第三の選択肢も浮かばない。
当然、意見もいまだに平行線だ。
どうするべきかと思案しても、大した策は思いつくわけがない。
「と、とにかくふたりとも帰んなさい。果たし状は受け取ったから。当日にバックレたら、あんたたちのペナルティーにはならないないでしょ?」
罪滅ぼしもかねて、自分で泥を被ってみる。
この子たちは、虎賀家の弟子だから師匠や目上、兄弟子たちには逆らえないのだ。
わたしの事情で折檻されたら、ものすごく後味が悪い。