私は、アナタ…になりたいです…。
嫌われた…?
濃厚なキスを受けた翌朝、いつものように田所さんは会社のドアをくぐり抜けた。
いつもなら私がいる待合室に顔を出し、朝の挨拶をしていくけれど……
(あれ…?)
こちらの顔も見ずに通り過ぎてしまった。
女子達の声も無視するように、さっさと非常階段を上がって行く。
テーブルの上に乗せられていた雑誌の束を持ったまま、一人呆然とその姿を目で追った。
(私がいるの、見えなかったのかな…)
背中を思い出しながら少しだけ不安が募る。
もしかしたら昨日、何か気に触るようなことを言ったのかもしれない。
帰ってから送られてきたメールに返した返事に、要らないことを入力したのかもしれない。
ポケットから取り出したスマホの画面を見て、昨夜送ったメールを確認する。
『無事、家に帰り着きました。今夜も奢って頂きありがとうございました。足元に気をつけて帰って下さい。また明日…会社で会えることを祈っています。おやすみなさい』
(素っ気なさ過ぎたかな…)
いきなり慣れた調子で送るのも変な気がして、いつも通りにしただけだった。
田所さんは私のメールに対して、『ご心配ありがとう。大丈夫です』と送り返してきていた。
キスのことも、お母さんのことにも触れていなかった。
醜態を晒したと思っているだろう彼は、その事について、私には触れられたくないだろう…と思った。
だから、今日はその話を聞かなかったことにして接しよう…と思っていたのに、結局、彼からはメールも何もなくて、私は気持ちを落ち込ませたまま家に帰り着いた。
いつもなら私がいる待合室に顔を出し、朝の挨拶をしていくけれど……
(あれ…?)
こちらの顔も見ずに通り過ぎてしまった。
女子達の声も無視するように、さっさと非常階段を上がって行く。
テーブルの上に乗せられていた雑誌の束を持ったまま、一人呆然とその姿を目で追った。
(私がいるの、見えなかったのかな…)
背中を思い出しながら少しだけ不安が募る。
もしかしたら昨日、何か気に触るようなことを言ったのかもしれない。
帰ってから送られてきたメールに返した返事に、要らないことを入力したのかもしれない。
ポケットから取り出したスマホの画面を見て、昨夜送ったメールを確認する。
『無事、家に帰り着きました。今夜も奢って頂きありがとうございました。足元に気をつけて帰って下さい。また明日…会社で会えることを祈っています。おやすみなさい』
(素っ気なさ過ぎたかな…)
いきなり慣れた調子で送るのも変な気がして、いつも通りにしただけだった。
田所さんは私のメールに対して、『ご心配ありがとう。大丈夫です』と送り返してきていた。
キスのことも、お母さんのことにも触れていなかった。
醜態を晒したと思っているだろう彼は、その事について、私には触れられたくないだろう…と思った。
だから、今日はその話を聞かなかったことにして接しよう…と思っていたのに、結局、彼からはメールも何もなくて、私は気持ちを落ち込ませたまま家に帰り着いた。