私は、アナタ…になりたいです…。
…涙が出そうになって、それをぐっと我慢した。

泣き出したいのは自分じゃない。


彼女が一番辛い。

でも、その辛さを押し殺して、僕に笑顔を向けているんだ…。



(だったら、自分もそれに応えないと……)




大きく息を吸って吐いた。

斜め下に目線を向けると、唇の端を持ち上げたままの彼女の顔が見えた。


一瞬、言葉に詰まる。

言い出したくなくて、許しを請いたくなる。

でも、ここで寄りを戻しても、きっと先でまた同じことを繰り返す。



ーーー無理をしてでも、離れないといけない。


そして、もう一度よく考えるんだ…。




…僕にとって彼女は、どんな存在かーーー




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