私は、アナタ…になりたいです…。
前のめりになっていた体を起こし、彼が深々と頭を下げた。

その頭頂部を見ていたら、不意に大粒の涙が溢れてきて……



「はい…」を言う前に泣き出してしまった。


コンタクトレンズがズレ始めて、大慌てて取り外す私を彼が微笑ましそうに眺めている。


その彼の顔が好き。

私にだけ見せてくれる、本物のスマイル。

『王子』でも『キング』でもない。

『田所悠真』さん本人だーーー。




「……私の方こそ…隣に立たせて下さい…。今度こそ、自信を持って言いたいことがあるんです…」


泣きながら話す私に「何?」と耳を寄せてきた。

涙の塩気に混じり、マリン系の香りが鼻をくすぐる。

その両方を肌で感じながら、彼の耳元に寄っていった…。



「どんな田所さんも好きです。貴方はずっと……私の憧れの人です……」



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