私は、アナタ…になりたいです…。
淡いベージュピンクのウエディングドレスを着て、女性が微笑んでいる。

傍らに背の高い男性。


…夫に似ている。

でも、夫よりもイケメンだな…。


側にいる女性は、私よりも少し背が高いくらい?

可愛い顔をした人。

目がクリッとしていて、まるで子犬のように愛くるしい顔をしている。



「悠真さん…」


ハッキリした発音で名前を呼んだ。

夫に似た男性が振り返る。

二人して笑い合って、本当に仲睦まじい感じがする。



「二人ともおめでとう…!」


聞いたことのある声がした。



ーーーこの声、大賀さん…⁉︎



「母さん」

「お母さん…」


ーーお母さん…⁉︎ どちらかのお母さんなの⁉︎


ーーどちらの?

ーーどちらの母親…⁉︎



「……美幸(みゆき)、ちょっと…」


ーーあらっ、あなた…。どうしてタキシードなんか着てるの⁉︎


すました顔して緊張しているみたい。

大賀さんのことを名前で呼び捨てて、まるで夫婦か何かみたい…。


ーー夫婦?

ーー夫と大賀さんが…?



……どうしてそうなるの?

……私はどこへ行ってしまったの……?



ーーこれは現実なの?

ーー私はやはり…死んでしまうの?



……と言うことは、これは未来の夢……?

誰かが、私に、見せてくれているの…?



ーーー誰が?


ーーーやはり、神様が……?



………そうだとしたら、モーニングを着てるのが私の息子…?ウエディングドレスを着た女性が、息子の結婚相手……?



『悠真』というのが息子の名前で、私の代わりに、大賀さんが育ててくれる……ということ?



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