私は、アナタ…になりたいです…。
『悠真』……『田所悠真』……


ーーそう…私の産んだ子は、そういう名前が付けられるのね…。


大賀さんが母親になって、私の代わりにこの子を育ててくれるんだ…。


我が儘な坊やで困ったろうね…。

私の子供だから、うまく叱れずに手を焼いたろうね…。

心配や迷惑を、沢山かけてきたんだろうと思う…。


歯痒くて、辛かったこともあったと思う…。



ーーでも、見て…。


ーーすごく幸せそうよ。


愛する人を見つけて、彼女と二人、これから、たくさんの時間を共に過ごしていくの…。



ーー私が果たなかった夢を、果たしていってくれるかしら?


ーー子供を育てて、幸せな家庭を築いていってくれるかしら?




見続けていられないなんて悲しいわ。


私には、もう…時間がないみたいなの……。




ーーほら…光が迫ってる…。


ーー体が…溶けだしていく……。


ーーー意識が…遠のき始めた………。



切ないけど…仕方がないのね……。


天に召されて、光になるんだもの………。




「神様……ありがとうございます………」



最後に願いを叶えて頂いて、とても幸せでした…。

成長した我が子の姿が夢に見られて……すごく感謝しています…。



ーーでも…出来れば、一つだけ…呟いてもいいですか?



「今度、生まれ変わることがあったなら……私は……あの子の子供として、生まれ変わりたい……」



ーー今度こそ健康で長生きして、愛する人と一緒に子育てをするの……。


ーー笑いながら、迷いながら、一生懸命に子供を愛するの。


ーーだから、二人に願っていいですか……?






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