私は、アナタ…になりたいです…。
気弱そうな答えが返ってきた。
やった…!と左手を握りしめながら、彼女にお礼を言った。


「ありがとう。僕は本当に嬉しいよ」


心の底から浮き立つものを感じて、弾むように言ってしまった。
彼女は戸惑うように、『はぁ』と呟き、『でも…』と続きを話した。


『会社では…一応、秘密にしたいです…』


僕の周りにいつも群がっている女子達の視線が痛い…と、彼女は正直な胸の内を明かしてくれた。

その言葉に、ますます微笑ましい印象を持った。


「いいよ。だったら社内では今まで通りに接する。でも、メールや電話には出て欲しい。それから、また次も会って」


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