私は、アナタ…になりたいです…。
これまでも外見はスゴく素敵な人だな…と思っていた。
気遣いも優しさも、知る限り一番だと思う。

でも、彼に憧れる理由は、それを自然体でやってしまえること。
サービス精神旺盛なのかもしれないけど、それだけでは語りきれない感じがする。

根っから優しい人なのか、何かワケがあってなのかは謎だけど羨ましい。
真似のできない部分全てが、私の憧れる理由だーーー。




退勤時間の18時を回って、私は女子社員が集まるロッカールームにいた。
ペチャクチャとお喋りをしながら着替えるこの時間の騒々しさは大の苦手。
いろんな香りに混じって、衣類の埃まで立っている。
淀んだ空気の中に押し込まれてるような雰囲気もどうにも好きになれない。



「今夜も断られたー」


入ってきた三人組の女子の一人が、泣き言のような声を上げた。


「田所さんってガード固いよね。あれだけ吸引力あるのに約束してくれること殆どないもん」


友達らしき女性が同情する。


「メールは絶対に教えてくれないし、LINEは面倒くさいからやらない…とか言うし」

「高飛車…と言うより理想高すぎない⁉︎ 」

「私達じゃ相手にならん…とかいう感じ?」


三人組の女子はロッカーから着替えを取り出しながら喋り続ける。こっちの耳を塞ぎたくなるような会話に、思わずを背中を向けた。


「こんだけ拒否られるとなるとそれもアリかなと思うけど、逆もアリだよね。もう本命いるとか…」

「ええ〜っ!そんなぁ〜!」

「あくまでも想像での話!いてもオカシクないじゃない⁉︎ あれだけのイケメンなんだから」

「王子だしねー」

「キング様だしね…」

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