私は、アナタ…になりたいです…。
今日の誘いの理由を話し、田所さんは写真を胸に収めた。
ずっと肌身離さず持ち歩いているんだろうな…というのが、その行為からして見て取れた。
「僕は河佐さんのことをずっと母と折り重ねて見てきた様に思います。申し訳ないけど、これまではずっとそんな気持ちだったんです…」
見下ろす目が少しも笑ってなかった。
『スマイル王子』と呼ばれる人の、こんな寂しそうな瞳に直面するとは思ってもいなかった。
「この間、眼鏡をかけている河佐さんを見た時、改めて『母とは違う人なんだな…』と実感しました。残念…というか、少し新鮮な気持ちでした。僕の知らない1人の女性として河佐さんを意識したのは、きっと初めてだったと思います…」
歩きましょう…と声をかけ、前を行く人の背中を追った。
田所さんは歩きながら少しずつ話を続けた。
「河佐さんのことが知りたくて、居ても立っても居られない感じがして…気づいたらメアドを書いてました。それをどうやって君に渡したらいいか…あれこれ迷ったけど、意外にもチャンスはすぐにやってきて……」
振り返った田所さんがやっとらしい笑顔を見せた。
私はその笑顔に少しだけホッとして、彼の近くに寄って行った。
スッと伸ばされた指先が髪に触れ、ビクッとなった。
目も離せずに彼を見つめていると、こんな言葉を囁かれた。
「あの日メールをもらって本当に嬉しかったです。河佐咲知という1人の女性を独占できて……感激でした…」
ずっと肌身離さず持ち歩いているんだろうな…というのが、その行為からして見て取れた。
「僕は河佐さんのことをずっと母と折り重ねて見てきた様に思います。申し訳ないけど、これまではずっとそんな気持ちだったんです…」
見下ろす目が少しも笑ってなかった。
『スマイル王子』と呼ばれる人の、こんな寂しそうな瞳に直面するとは思ってもいなかった。
「この間、眼鏡をかけている河佐さんを見た時、改めて『母とは違う人なんだな…』と実感しました。残念…というか、少し新鮮な気持ちでした。僕の知らない1人の女性として河佐さんを意識したのは、きっと初めてだったと思います…」
歩きましょう…と声をかけ、前を行く人の背中を追った。
田所さんは歩きながら少しずつ話を続けた。
「河佐さんのことが知りたくて、居ても立っても居られない感じがして…気づいたらメアドを書いてました。それをどうやって君に渡したらいいか…あれこれ迷ったけど、意外にもチャンスはすぐにやってきて……」
振り返った田所さんがやっとらしい笑顔を見せた。
私はその笑顔に少しだけホッとして、彼の近くに寄って行った。
スッと伸ばされた指先が髪に触れ、ビクッとなった。
目も離せずに彼を見つめていると、こんな言葉を囁かれた。
「あの日メールをもらって本当に嬉しかったです。河佐咲知という1人の女性を独占できて……感激でした…」