私は、アナタ…になりたいです…。
最初に目に入ってきたのは黄色のネクタイに描かれたダイヤ模様。それから目に映ったのはワイシャツの襟。
白襟に淡いブルーカラーのシャツはボタンダウンになっていて、ネクタイといい具合にコーディネートされている。
センスいいなぁ…と、余計なことばかり考えていた私を覗き込もうとしている目に気づいたのはその直後だった。
くっきりした二重の切れ長の目が様子を伺っている。
下からではない。明らかに斜め上から。
(あっ……!)
「スマイル王子!」
ついニックネームを叫んでしまった。
言われた人はポカン…として、それから私の手首を離した。
「スマイル王子ね。…まあ間違いじゃないけど……」
苦笑している顔を見るのは2度目だ。1度目は5年も前になるけれど。
「あ……す、すみません!急にぶつかって…!」
ようやく事態が呑み込めてハッとした。
スマイル王子こと田所さんに、私は思いっきりぶつかってしまったのだ。
「こっちこそ前方不注意でごめん。車の事故ならこっちの方が責任重いね」
車両事故に繋げて謝る辺りはさすが…と言うか。
だから影で囁かれるんだ。
『リップサービス・キング』ってーーー。
「私の方がいけないんです。よく確かめずに前に出て…」
言い訳しながら顔を向けた。
あれ…と小さな声がして、田所さんが私のことを指差した。
「メガネ。かけるの?」
間近に寄ってきたから私はついつい後ろへ下がる。
白襟に淡いブルーカラーのシャツはボタンダウンになっていて、ネクタイといい具合にコーディネートされている。
センスいいなぁ…と、余計なことばかり考えていた私を覗き込もうとしている目に気づいたのはその直後だった。
くっきりした二重の切れ長の目が様子を伺っている。
下からではない。明らかに斜め上から。
(あっ……!)
「スマイル王子!」
ついニックネームを叫んでしまった。
言われた人はポカン…として、それから私の手首を離した。
「スマイル王子ね。…まあ間違いじゃないけど……」
苦笑している顔を見るのは2度目だ。1度目は5年も前になるけれど。
「あ……す、すみません!急にぶつかって…!」
ようやく事態が呑み込めてハッとした。
スマイル王子こと田所さんに、私は思いっきりぶつかってしまったのだ。
「こっちこそ前方不注意でごめん。車の事故ならこっちの方が責任重いね」
車両事故に繋げて謝る辺りはさすが…と言うか。
だから影で囁かれるんだ。
『リップサービス・キング』ってーーー。
「私の方がいけないんです。よく確かめずに前に出て…」
言い訳しながら顔を向けた。
あれ…と小さな声がして、田所さんが私のことを指差した。
「メガネ。かけるの?」
間近に寄ってきたから私はついつい後ろへ下がる。