私は、アナタ…になりたいです…。
嫌味のように聞こえるかもしれないと思い、すぐにその話題は引っ込めた。
仕切り直すような気持ちで、街コンの話に戻した。


「受付に戻ってから『付き合ってる人と参加したい』と田所さんが言ってたと聞かされて、そうだったのか…と思ったんですけど、素直には…喜べなくて……」


流れてくるLINEが、どれもこれも恐ろしく感じられてしまった。
不安ばかりが大きくなって、今すぐフられた方がマシだ…と思った。


「階段まで様子を見にきて下さったのに、お礼も言えなくてすみません。……私、ひどい顔してたんですね……きっと……」


言い出そうとしてた言葉も話せなくした。

田所さんみたいな素敵な人の言葉を止めてしまうなんて、みっともなさ過ぎて嫌になる。

今だって支離滅裂な話しかできない。そんな私を田所さんは相槌を打つでもなく平然とした顔つきで眺めている。


その顔を見ていると、嫌でも自分の中に劣等感が湧いてくる。


抜け出せない原因になったあの恋を思い出すーーー。


「私…学生の頃いろいろあって…どうしても自分に自信が持てなくて……田所さんの言葉も嘘みたいに思う時があるんです。今ならまだ付き合いしだして日も浅いし、傷つかないだろうと思ってお呼びしたんですけど……」


長い言い訳を立て並べてしまった。

劣等感が高まってくる中、田所さんがようやく「うん…」と囁いた。


その優しい声に目線を向けた。

小首を傾げる田所さんの表情に、見たこともない切なそうな表情が浮かんでいた。


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