強引上司とオタク女子
国島さんはおにぎりを買ったらしく、別の袋から取り出して食べていた。
そして、一緒に取り出されたヨーグルトのパッケージにくっついたシールに私の目が釘付けになる。
ちょっとちょっと、御影石くんのスペシャル等身大抱きまくらがもらえる、だって。
いつからだよ、その懸賞。知らなかったー。
詳細ギブミー。
何点あつめりゃいいの。
「……ヨーグルト好きなのか?」
「えっ」
「舐めるようにみてさ。気持ちわりーな」
むかー。
国島さん、なんか私に冷たくない?
言い方ってもんがあるでしょ。
「別にっ、違います」
でもその応募券のついた上ぶたは欲しいけど。
見ないようにと思うのに、御影石くんの麗しい姿が私の目を離さない。
おにぎりを食べ、珈琲を飲み終えた国島さんは(食の相性が悪いと思う)、ヨーグルトには手を出さずに席を立った。
「後一時間以内に終わらせたらやるよ。冷蔵庫に入れとく」
「へ」
「きつい言い方してんのは悪いと思ってるけど、おまえは新人じゃないだろ? 何年目だ? 未だにその仕事しかできない自分を恨めよ」
「はあああ?」
むっかー。
もう、ほんとに! この人嫌い!!
「絶対に終わらせてみせます!」
あまりに悔しくてした宣言を、あっさり五分後には後悔しつつ、なんとか期限三分前にマニュアルはプリンターから吐き出された。