強引上司とオタク女子
その後、食事をしながら私の書いた原作を渡して見てもらう。
「どうかな」
「うん。面白い。八重ちゃんのお話、私大好き。御影石くん格好いいよね」
「もう最高です。彼がいてくれたらなんにもいらないよ」
「頑張って描こう。ネームできたらまた見せるね」
「うん! ベタ塗りとかになったら私も手伝うからね」
そんな感じで予定を立て、軽くお酒も入れつつ一杯食べて一杯騒いで、すっかりストレス発散したころ、窓を叩く音に顔を上げる。
「げっ」
「八重ちゃん、知り合い?」
窓の外でニッコリ笑っているのは国島さんだ。
あろうことか中まで入ってこようとする。
なんだよ、プライベートにまで首突っ込んでくるなよ。
「あ、明日美、出よう!」
「え、でも」
「ほら、私達食べ終わったし」
慌てて立ち上がると、国島さんが入り口でストップして待っていた。
「よう、川野」
企んだような笑みはやめてください。
明日美の前だし、笑顔で応対しようと思って入るけど引きつっているのは否めない。
「国島さん、……仕事帰りですか? ここのパスタ美味しいですよ」
そこで、明日美がおずおずと頭を下げた。
「こんにちは。八重ちゃんの職場の方ですか? 我妻です」
「こんにちは。俺は国島といいます。おい、お前の友達にしちゃ礼儀正しいな」
失礼だよ! いちいち。