強引上司とオタク女子


「……悪かったって」


私をなだめるように、背中がぽんと叩かれる。
それは規則的に、優しいリズムを刻んで。


「許しません」

「どうしたら許す気になる?」


どうしたらって。
……どうしようかな。


「……ヨーグルトの点数、あと15点分集めてください」

「は?」

「ヨーグルト、嫌いじゃないですけど。そろそろ飽きてきました」

「はっ、ははっ。やっぱおもしれーわ。川野」

「うるさいですよ」


噛みつくように反論した時、予想もしないことが起こった。


「夢壊してわりーけど」

「は……」


息が出来ない。
唇が、お酒臭い熱いもので塞がれてる。

ちょっと待って、油断した。
私の、私のファーストキスが!!


「……っ、やあ」


押しても押しても離れない。
嫌だ。変態。最低。

触れている間、ずっと息を止めてしまった私は、唇が離れた途端に入り込む新鮮な空気を必死に吸い込んだ。
その間も、私の体を離さないで、国島さんは熱っぽく告げる。


「好きだ」


好きなら何してもいいとか、ストーカーの発想ですけど。


「私は、嫌いです!!」


思い切り足を踏んづけてグリグリして、私はようやく彼の拘束から逃げた。

そしてどこに向かっているのかもわからないまま、とにかく走って逃げた。


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