強引上司とオタク女子
5.好きだなんて認められない
「昨日は酔っていた。すまなかった」
私が使おうと思っていた言い訳を、変態上司に告げられる。
ただいまお昼休みの会議室。
今朝から国島さんを無視しまくっていた私が、無理矢理に連れて行かれたところだ。
私は今でも彼の顔を見られない。
だって、あの唇が私に……ちゅーとかあり得ない。
「許しません」
「悪かったって。反省してる。誠意を見せよう。とりあえずこれだ」
目の前に置かれたのはヨーグルトの応募券5点分だ。
「え。こんなに?」
「今朝からヨーグルトしか食べてない」
思い出すのも嫌というような顔で口元を抑える。
だって、ヨーグルト一個の点数が1点とかだよ?
昨日の夜から今まででもう5個食べたってこと?
驚きの余り、言葉が出なくなる。
そしてヨーグルトのカップをテーブルに並べて食べまくる国島さんを想像したら笑いがこみ上げてきた。
「……ぷっ」
「良かった。笑ったな?」
「笑ったからって昨日このことは無しにはなりませんから。……でも、これはありがたく頂いておきます」
嬉しい。
これであと12点分集めれば応募できる。
いそいそとポケットにしまうと、彼の方も少しリラックスした調子になった。
「おう。それと、確かに昨日は俺が悪かったが、仕事に関してはいつもどおりやれよ。やりにくくて仕方ない」
朝から無視しまくったもんな。
確かにそれは大人としては反省すべき点か。