強引上司とオタク女子
*
それから数日、国島さんがアホみたいに大人しい。
なんだか気持ち悪いな、と思いつつ、二日に一度はヨーグルトの蓋をくれる。
順調に溜まっていく応募券。
これは素直に国島さんのお陰だな。
仕事的にはマニュアルは一度私の手を離れ、各所との打ち合わせへと入るらしい。またそこで出てきた変更を直させられるのだろうけど、今のところ基本定時帰りができるくらい。
まあ、国島さんたちは忙しそうだけどもね。
早々に会社をでて、鼻歌を口ずさみながら歩いていると、何かの警笛のようにスマホが鳴った。
『川野か?』
電波の向こうは国島さん。
緊迫した声から、何かがあったのだと分かる。
「はい。国島さん? どうかしました?」
『過去に依頼したことのある劇団のリストってどこにある?』
「ああ。紙ベースでなら鍵付きの棚の上段にあるはずですけど。データだと……えっと、どこだったかな」
『いいよ、紙であれば。……笠山、その棚探してくれ。……どこがヒーローショーの経験があるとか、そういうの分かるか?』
あれ、でも。
今回のヒーローショーはもうとっくに頼んであるんじゃなかったっけ。
私が黙っていると、国島さんが吐き捨てるように漏らした。
『実はちょっとトラブってな。頼んでいた劇団、バッティングしたらしい』
「は? どうしてですか?」
声を荒げたら、逆に電話越しの声は小さくなった。
それから数日、国島さんがアホみたいに大人しい。
なんだか気持ち悪いな、と思いつつ、二日に一度はヨーグルトの蓋をくれる。
順調に溜まっていく応募券。
これは素直に国島さんのお陰だな。
仕事的にはマニュアルは一度私の手を離れ、各所との打ち合わせへと入るらしい。またそこで出てきた変更を直させられるのだろうけど、今のところ基本定時帰りができるくらい。
まあ、国島さんたちは忙しそうだけどもね。
早々に会社をでて、鼻歌を口ずさみながら歩いていると、何かの警笛のようにスマホが鳴った。
『川野か?』
電波の向こうは国島さん。
緊迫した声から、何かがあったのだと分かる。
「はい。国島さん? どうかしました?」
『過去に依頼したことのある劇団のリストってどこにある?』
「ああ。紙ベースでなら鍵付きの棚の上段にあるはずですけど。データだと……えっと、どこだったかな」
『いいよ、紙であれば。……笠山、その棚探してくれ。……どこがヒーローショーの経験があるとか、そういうの分かるか?』
あれ、でも。
今回のヒーローショーはもうとっくに頼んであるんじゃなかったっけ。
私が黙っていると、国島さんが吐き捨てるように漏らした。
『実はちょっとトラブってな。頼んでいた劇団、バッティングしたらしい』
「は? どうしてですか?」
声を荒げたら、逆に電話越しの声は小さくなった。