強引上司とオタク女子
「いいか? 今日は残業してでも作りなおせ」
「……はい」
理不尽だ。
今日は明日美と食事する約束だったのに。
大体、闇雲に直せって言い方が無いと思うんだよね。
どこが気に入らないのか指摘せ-よ。
不満を露わにじっと見つめていると、凄みのある睨みが返ってきた。
「何だ」
鋭い切れ長の目が怖い。
分かりました。ごめんなさい、直します。
「……なんでもありません。頑張ります」
ふてくされたまま、デスクに戻りディスプレイにため息を吹きかける。
隣の席の二つ上の笠山さんが、片目をつぶって「ドンマイ」と呟いた。
慰めてくれているんですね、ありがとうございます。良い人だ。
とはいえ、どこから手を付けていいか分からない。
勤めて長いとはいえ、私はこの手の仕事をするのは初めてなのだ。