強引上司とオタク女子
「なっ」
「皺になるぞ。何難しく考えてる?」
「別に」
「……てか、難しく考えてるのがもう証拠だろ。お前は三笠くんに惚れてんだ。諦めなきゃいけないと思ってても諦められずにいる。それって告白してないからだろ。とっとと振られてこい」
私が長い間考えないように心の奥底にしまいこんできたことを、あまりにもあっさり言葉にされて、怒り出せばいいのか泣き出せばいいのか分からなかった。ただ黙ってじっとしているのが精一杯だ。
そうしたらふっと手を握らて持ち上げられる。
釣られるように顔も上げると、私の指先に唇をあてた国島さんが苦笑してた。
「……すげーソソる顔」
だから、それってどんな顔よ。
「告白なんて出来ません。三笠くんは明日美の彼氏なんですから」
「誰の彼氏とか、好きになっちまったら関係ねぇだろうよ」
「ダメなんですって」
ずっと気にはなってた。
中学の時から、私を認識さえされていない時から、憧れていた。
でも無理なんだ。
彼が私に気づいてくれたのは、“明日美の親友”だったから。
私なんて、彼に見つけてさえもらえない存在なんだ。
「中学からずっと黙ってるんですから。今更言えません」
「そりゃまた随分こじらしてんだな」