強引上司とオタク女子
6.大好きだから幸せに
それから特急で過ぎていった二週間。
国島さんは忙しくなったのもあって、私には構わなくなった。
ただ、机の上に置かれた点数シールを見るたびに、私の胸が変な感じに軋む。
あと1点だ。
自分で食べればすぐ貯まる……のに、ヨーグルトを食べる気分ではなくなっていた。
ヒーローショーは脚本を元に、三笠くんが沢山アイデアを出してくれて、むしろ最初のものよりも良くなっていた。
本番が楽しみだと、私が思ってしまうほどに。
そして、イベント当日。
誰か晴れ男がいたのだろうか。
天気予報的には怪しいと言われていた天気も上々で、私はほっと胸をなでおろす。
「八重ちゃーん」
「明日美!」
「招待してくれてありがとう。俊介くんのヒーローショー見れるなんてすっごい嬉しい」
「急な頼まれごと引き受けてくれしてるたんだもん。招待券都合つけるくらいなんてことないよ」
「じゃあ、ちょっと周り回ってくるね」
三笠くんたちはもうリハーサルに入っている。
友達も呼べるように招待券は二枚渡したんだけど、明日美は一人で来たようだ。
国島さんや企画の面々は忙しく走り回っているけれど、私は今日は役者のお弁当出しとかの接待担当で、それも数人で行うから休憩も取れそうだ。
後で明日美と一緒に回る時間を捻出しよう。