強引上司とオタク女子
通常、案件ごとにリーダーがトップにたち、企画担当、広報担当など各専門分野の社員がメンバー入りしてチームを組む。
私はこれまで常にチームの中でも一番下っ端の事務アシスタントの立場だった。
実際に社外にでてお客様と折衝することはなく、言われた通りの資料を揃え、ほぼ出来上がった資料の清書をし、契約書関係の郵送処理を引受け、経理系の処理をする完全なるサポート役。
それでずっと満足してたのに。
マニュアルだって本当は、今月頭に産休に入ってしまった入社十年のベテラン、草加さんのお仕事だ。
彼女がいないタイミングで大きな仕事が入るなんてついてない。
人手不足を補うようにと、上は新人の梨本さんを配属してくれたけど、新人はぶっちゃけ仕事覚えるまで手がかかるから余り戦力にならない。
今まで戦力外的な扱いを受けていたこの私。
だけど、流石に入社半年の梨本さんと比べたら、当然彼女よりは私に仕事が回ってくる訳で、あれよあれよという間に実働部隊にさせられている。
異動早々大きな仕事を取ってきた国島さんに対して、上司は信頼をこめた眼差しで見つめ、やる気のある社員は尊敬の念を露わにしてるけど、私みたいな下っ端は憎々しい眼差しを向けている。
だって忙しいんだもん!
いいことなんてなんにもないよ。
忙しいのはイカンよ。
私は出世は要らないの。
定時で帰れる素敵なお仕事希望。
最低限、一人で生きていけるくらいの給料があれば、私には事足りるんだもん。