柚と柊の秘密
「戸崎のギター、確かに上手だ」
え?
「技術もあるし、練習量も半端ない」
なんで?
「俺たちも頑張らないと、戸崎に越されるぞ」
健吾君はそう言って、あたしを見て少し笑った。
初めて見る健吾君の笑顔だった。
それは、雪解け水のように優しく、そして深く心に沁み、太陽のように身体を温めた。
知らないうちにあたしも健吾君を見て笑っていて。
はっと気付いた。
あたし、なに健吾君を見つめて笑ってんの?
練習しすぎで、あたしの頭おかしくなった?
それでも身体と胸の火照りは鎮まることなんてなくて。
……苦しいよぉ。
胸を押さえてもがくあたし。
おかしいよ、あたしのカラダ。
案の定、
「柊?どうしたの?」
優二君と慎也君はあたしを心配して駆け寄り、
「大丈夫か?」
健吾君があたしの手を握る。
すると、あたしの身体の炎はさらに勢いを強め、あたしを飲み込もうとした。
熱い……
健吾君の触れる手から燃えてしまいそう。
あたし……
どうなってしまうの?